俺は結局、助けてあげられなかった。

−あれは今から5年前−

「ねぇ、私、死んじゃうの。」

「は?いきなりどうしたんだよ。冗談やめ
ろよ。」

「冗談なんかじゃなくて、ね?私、妊娠したの。でも、その子を産むなら、お母さんの命はないでしょう、って。」

「じゃ、じゃあ、子供は産まなくていい。俺はお前と一緒にいたい。」

だけど、梨沙は一度決めたことに対して、いくら俺が何か言っても、貫き通す。だから、もう、梨沙は天国へ行ってしまう…