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夕食は豆腐のハンバーグにたこライスだった。母さんのお得意料理だ。
「誠人が来て嬉しかったわ」
母さんと誠人のお母さんは高校からの親友だったみたい。その原因なのか、誠人のこともとても甘えてきた。
「なんかいきなり来てすいませんね」
「あら、誠人はいつ来てもいいわよ。誠人のお母さんから頼まれたわ、フランス行くから息子を頼むって、ふふ静も相変わらず好き勝手ね。だから遠慮せずここに来なさいね」
食事を終え、誠人はすぐ戻らずに私の部屋にやってきた。
「あんたの母さん、いいな。うちと違って、ちゃんどあんたの世話をしてる」
「うるさい時もあったよ」
「ほっとくより百倍マシだ」
私の気のせいなのか、一瞬誠人がとても寂しそうに見えた。
「そうだ、あんたさ、二年の森笹子って子知ってる?」
「うちのクラスの子なんだけど、どうして」
「いや、ちょっと気になっただけ」と彼がさり気なく言った。
私は、このセリフを覚えている。
誠人が恋人ができた度に、そのセリフ、何度も聞いた覚えがある。
気になった、と。
それもそうだよね、いくら私が誠人のこと好きでも、誠人は絶対に私のことを好きにならない。
誠人の好きなタイプは、綺麗な子ばっかり。私みたいな地味な人は、誠人は決して目を留めてくれないはず。
分かっていたのに。
けど、心臓が突き刺されたように痛かった。
