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「おい」
家に入ろうとする時、玄関の前で誠人に止められた。
「あんたの部屋をちょっと貸して」
「またカギ忘れたの」と私が訪ねた。
私の部屋についたベランダから、直接誠人の部屋のベランダに飛び込むことができる。
私の話を聞いた誠人は大きくため息をつき、難しい顔をして、
「うちの親本当にわがままだな、一人の息子を家に置いて海外旅行ってアリ?まじ信じらんない」
「ふっ」
思わず噴き出した私。
「おい、おれ可笑しいことでも言ったのか」と誠人は不満な眼差しで私を見つめた。
「いえ」
ただ、拗ねてる誠人が可愛いなぁと思っただけだから。もちろん誠人に打ち明けるはずがない。
「おじさんとおばさんが旅行に行った間、食事どうするの」
「適当にコンビニ弁当で済ますしかないでしょ」と彼は当たり前のような口調で返した。
「じゃあさ」
心臓が急にドキッとうるさくなり、私は目を誠人から逸らし、一深呼吸をした。
「私んちで食べればいいじゃない」
声が震えている事に気づいた。
「いい?」
「私は別に…母さんは喜ぶと思うけど」
「ラッキー、ちょうどおばさんの手料理食べたかったな。昔、よく一緒に食事取ったな」
「小学校のことでしょ、それ」
小学校の頃も、誠人の両親が誠人をうちに預けて旅行に行ったことがあった。その時のことを思い出せば、まるで神様からの大事な贈り物みたいに、信じられないほど、嬉しかった。
本当に、誠人のご両親に感謝したいくらいだ。
「その前に、まず部屋貸して」
