君に恋する夢を見た



彼に出会ったきっかけは、ごく普通だった。

友達の葵との約束したファミレスに着いた時、彼は葵の指示した席に座っていた。

私を見ると、照れくさそうな微笑みを口元に浮かべ、

「あっ真衣さんですか?僕は葵の彼氏で佐々木悠と言います。あのー葵は先トイレ行ったんです」

私は驚いて一瞬彼の話に反応できなかった。

え?葵は彼氏とかできたの?

いつ?どうやって?何で私に教えてくれないの?

質問が頭の中をぐるぐると回り、挙句の果てに私は無言なまま、佐々木悠と名乗った男の向こうの席に腰掛けた。

「佐々木さんは私の事知ってますか」

と私は彼に尋ねた

「ええ、葵から写真を見してもらいました。人間違いしないようにね」

そう言って、また恥ずかしげに手を口元に当て微笑んだ。

彼の笑顔はとても優しくて、そしてなんだか安心感を与えてくる。私は心の中に、目の前のこの男をいい人だと判断した。

「真衣ちゃん」

後ろから聞き慣れた声がした、振り向かなくても葵であることは分かっている。

葵は私の隣を通りすぎ佐々木悠の隣に座り、嬉しげに私の手を触れた。

「真衣ちゃん、今日はね、紹介したい人がいるの」

彼女の目線は佐々木悠のところへ移り、ニコニコとしている笑顔は一層可愛く見える。

「もう知ったわよ、葵って酷いな、彼氏できたって一言ぐらい教えてよ」

「えへへ」

葵はぺろりと舌を出し、声を立てて笑った。

「だってさ、真衣ちゃんをビックリさせたいもん、サブライス!」

「もう」

私はため息をつき、困ったふりをした。

「じゃ佐々木さんは…」

「ふふ佐々木さんって固いよお真衣ちゃん」

私の言葉を遮った葵がニヤリと笑い、その隣の佐々木悠も少し口元を緩め、優しい声で、

「悠でいいです。よろしくね、真衣さん」

と言った。