「遅かったわね…って、加賀先生に送ってもらったの?」
「あ、うん」
「すいませんね、先生っ」
「こんばんわ。大丈夫ですよ、今日はお話があって立ち寄らせていただきました」
「…じゃあ、お茶入れますから中へどうぞ」
なにかを察したのか、ママは真面目な様子でそういう。
「いえ、玄関で大丈夫です」
「あ、そうですか?なんだか、すいません」
私はとりあえず、家の中に入る。
なんとなく、ままの後に立つ。
「実は、相山さん…希美さんですが。嫌がらせを受けていまして」
「え?嫌がらせ?」
「軽いものなら、冗談とかその程度なのですが…少々度が過ぎていまして。髪を切られたり、数人に襲われかけたりと」
「そんな…」
ままの表情は、見えなかったけど…声は少し震えていた。
先生は、相変わらず無表情で。
私は黙って聞くことしか出来なかった。

