「今日は車じゃないんですね」

「助手席に女は乗せない」

「私、女ですけど」

「…うるさい」

…先生、期待してもいいですか?


電車に乗ると、
帰宅ラッシュだけあって人で溢れかえっている。

…ちょっとギューギューすぎない?

「大丈夫?」

「ま、まぁ」

「この時間に乗ったの間違えだったな」

確かに…
「なんか、すいません」

「とりあえず、次で降りるか」

もう、先生に任せよ。
人が少ない電車まで次の駅で待機ってことだよね?きっと

そんなに時間もかからず次の駅につくと、
結構多くの人が電車から降りた。

「だいぶ降りますね…この様子なら降りなくても…」

私の提案とは別に、
先生は私の手を引っ張って電車から降りた。

…え?なんで??

「先生?」

「ウチ、来る?」

「え?」

…それは、一体どういうこと?
ウチってつまり先生の家だよね?

「ここから近いんだけど」

「えっ、あの…」

「なんてな。車取りに行って送る」

なんだ、そゆことか…
もうびっくりしたなぁ

…嬉しい半面、ビックリみたいな。

その後、家に帰るまで緊張して一言も話せなかったのはナイショです。