「…先生?もうこんなふうにしゃべれない?」
「……」
「私、嫌だよ。先生と喋られないなんて…。辛いもん……せっかく、先生と少し打ち解けてきたのに…振り出しなんてまた進まないなんて…」
気づいたら、私は涙を流していた。
なに、感情的になってるのよ…自分。
「…言ってたもんな、わかったよ。相山さんの気持ちは…とりあえず、家ついたから降りようか」
「なんか、ごめんなさい…」
私と先生は、車を降りて家の前に立った。
また、前と同じになったらどうしよう…。
あの日のことがフラッシュバックした。
「相山さん、大丈夫。俺を信じて」
その言葉を信じて、
私は重い扉を開けた。

