その背中、抱きしめて 【下】




「うちのチームは平均身長高くないから、コンビ中心の攻撃なのね。だからいつでもAパス返るようにサーブレシーブとスパイクレシーブの練習に結構力入れて時間割いてるんだ」


Aパスっていうのは、レシーブしたボールがセッターの真上に来る…ようするにセッターが一歩も動かずにトスを上げられるレシーブをすること。

まずはそれが出来ないとスパイクのコンビプレーに持っていけない。


「まずレシーブの精度を上げることが大前提だけど、トスの精度でスパイクの威力とか決定率に大きく左右されるでしょ?私、桜井くんと何回かパス練してみて思ったんだけど、桜井くんのパスってアタッカーにとってすっごく打ちやすいトスなんだ。だから、正セッター今は3年生だけど、インハイまでに奪い取ってほしいと思ってる。桜井くんならアタッカーみんなの力を引き出せると思うんだ」


もちろんまだまだ練習が必要。

だけど、この子は早々にかなりのレベルに到達する。

そう直感したんだ。



桜井くんは黙って私の話を聞いていた。

ずっと私の目を見ながら。


「それには…みんなの力を引き出すには、ちゃんとアタッカーひとりひとりの1番打ちやすいトスを知ってなきゃいけない。…私はそれを桜井くんに教えたい」


私が桜井くんの目を見てそう言うと、桜井くんは少し目を見開いた。