駅で″俺も行く″って食い下がる清水くんを振りほどいた高遠くんに腕を引っ張られて電車に乗り込む。


「…ったく、ほんっとあいつ邪魔ばっかする」

またイライラモードになっちゃった高遠くんの髪に手を伸ばして、親指と人差し指でそっとひと束掴む。

「あんまりイライラしないの」

私の一言で冷静さを取り戻した高遠くんは、私の長い髪をそっと指で掬って

「ごめん」

って呟いた。


そして、私の髪に触ったまま少しかがんで、小さな声で

「先輩、大地の邪魔が入らなかったら最後までしてくれた?」

って聞いてくる。

アレを思い出して一気に顔が熱くなった。


最後まで…

「わ、わかんない…けど…」

「けど?」



「いつか、いや…次?…その時は…全部あげる」


恥ずかしい思いして言い切ったのに、高遠くんの反応がない。

(何かまずいこと言った?それとも呆れられてる?)

恐る恐る上を向くと、手の甲で口を押さえて真っ赤になってる高遠くんがいた。


「え…?高遠くん?」


「だから、先輩のその破壊力…なんとかして」


こんな真っ赤な顔の高遠くん初めて見た。

こっちまでつられて赤くなる。


「次、約束だからね。待ったなしだからね」

高遠くんに、真っ赤なまま怒った顔で念を押された。