その背中、抱きしめて 【下】



電車を降りて待ち合わせ場所まで急ぐ。

(あぁもうキャリーケース邪魔!!)


待ち合わせ場所には会いたかったその人がもういて、抱きつきたいのを我慢しながら呼んだ。

(公共の場じゃなくてもそんな大胆なことは出来ないんだけどね…)


「高遠くん!」


下を向いてたその綺麗な顔が、ゆっくり私の方を向く。

そして、形の良い唇が動いた。



「おかえり」




その顔がすごく優しくて、抱きつきたい衝動を堪えるのが余計に辛くて

(恥ずかしくて抱きつけないんだけどね!)

色んな衝動と感情をグッと押さえ込んで、めいっぱいの笑顔で応えた。


「ただいま!」