「洋平くん?」
「うん」
高遠くんの眉間にみるみるシワが寄る。
一瞬呆気にとられたけど、その理由はすぐにわかった。
「…あ。」
名前だ!
高遠くんは苗字なのに洋平くんは名前で呼んでるから。
「何で名前で呼んでんの?俺は苗字のままなのに」
「名前で呼んでって。みんな名前で呼んでるからって」
私だけ特別じゃないんだよ。
でも高遠くんにはそんな理由通用しなかった。
「じゃあ俺も名前で呼んで。みんな名前で呼んでんじゃん」
(う…)
そうだけど。
みんな高遠くんのこと、名前で呼んでるけど。
洋平くんを名前で呼ぶのとは緊張度が違う。
「呼べないよー」
ちょっと泣きそうになる。
「何で?前に呼んだじゃん」
あの時。
部活前に校舎裏で名前を呼ばされて、息がつまるようなキスをした。
思い出して一気に恥ずかしさで顔が熱くなる。
「あん時みたいに呼んでよ」
「…で、できないよ」
「だから何で?俺の名前呼ぶの嫌?」
違うよ、そうじゃない!
首を横にぶんぶん振った。
「じゃあ何で?」
高遠くんの取り調べは厳しい。
絶対逃げられない。

