玄関に藤居くんを招き入れながら、なんの躊躇もない自分にちょっと驚いた。


重い荷物を、よっこらしょと運ぶ藤居くんが、なんだかたくましく思えた。



「ねぇ、何がはいってんの?」

「あ、これ? …見る?」

そう言って、藤居くんはバッグのファスナーをジジジっと開けた。



「…………っあ!」


中身はウカレッドのスーツだった。


「きゃぁ~!本物っ?」

「そうそう。もしかして、健ちゃんが起きてたら、またこれで登場でもしようかな、って。」

「あははははっ!そうなんだぁ。」




荷物を中に入れて、リビングに藤居くんを通す。


私はコーヒーを入れにキッチンへ…


藤居くんは、居心地悪そうに、ソファーに座っていた。