電話やメールはあっても、会うことはなかった。

本当は、あの日から、私は、とにかく藤居くんに会いたかった。

会いたくて、会いたくて、会いたくて、会いたくて…

会おうと思えば無理をしてでも会えたと思う。

でも…
会わなかった。


毎日、藤居くんとの電話やメールでドキドキしながらも、心のどこかでストップをかけていたのかもしれない…


そう…
私には現実の生活がある。

大切な健もいる。


そして、今日、雅史も帰ってくる…



どんな顔して雅史を迎えればいいんだろう…



不自然にならないようにしなきゃ…


そればかりを考えてた。




藤居くんとのメールも着信履歴も、全部消去した。

何度も何度も確認した。




バレない。

ぜったいにバレない!

いや、私は確実に雅史に知られないようにしなくちゃいけない。


できるよ、大丈夫。

隠し通せる。


藤居くんを守ることにもなるんだ!