「真ん中のお風呂が気になったけど、
 いったらいけない気がしたので
 やめました」

つい私も釣られて話をしたら、

「へぇ、君は、そういうことにも気づくのか。
 たまに素質のあるものが来ても、
 気づかずにその湯に入り、二度と、
 帰れなくなったものが全員だ。
 ここは実は、第二の選別所なんだ。

 あの湯はわざと魅力的に作られていて、
 あの湯だけは入ると、まぁ・・・。
 君の世界で言うところのあの世に繋がって
 いて、二度と帰れなくなる。
 ここを突破したのは君がはじめてだね。
 やっぱり君は選ばれたんだな」

なんて、恐ろしい答えが返ってきた。

「直感、というものは
 なかなか当てになるよ。
 その点、君は素直だ」

さて、次に行くか、
とおじさんは立ち上がり、
私の手をとって、元来た道を戻った。

再びトイレの前を通り外に出て、
今度は物置に入る。

トイレの前と同様、歪んでいた。