ちなみに素質がない人は、
この世界からおじさんの不思議な力で、
強制的に帰すそうだ。

私もできればそうしたかったんだけどな・・・。

(・・・。現実世界での生活が・・・)

私がそう思った瞬間、

「ここは時間という概念がないから大丈夫さ。
 帰ったら元通り。ただし、ここでの記憶は
 残るから、君は特別な体験をして、何かを、
 乗り越えるだろう。
 世界が変わって見えるはずだ。

 君は素質がなくて、そのまま俺に帰して
 欲しかった、と思ってるね。無理はないけど
 まぁ、ラッキーなことだぜ?

 あ、ちなみに、俺、この目を通して、
 ココロ、読めるから」

ココロを読まれた。

目を通して、頭の中の声、ココロの声が、
文字になって飛んでいるんだとか。

「実は、私も・・・。ココロの声が、
 文字になって見えるんです」

そう。現実世界では、私は不思議なことに、
頭の中で考えたことや、相手の声が、
文字になって見えるのだ。

それはうっとおしくもあり、でも、
現実のものを見る妨げにはならない、
不思議なものであった。

「同類にあったのは初めてだ。
 もっとも、俺はこっちの住民だから、
 君の世界でもそんなことがあること事態が
 驚きだがね」