「よぅ、俺が来るのを待ってたみたいだな。
 賢い子だ。なにか分かったかい?」

目を開けると、例の男性が居た。
やっぱり予想の通りだった。

旅人のような格好の細身のおじさんで、
あごひげを蓄えて、どこかココロを見透かされそうな目をした人だった。
ぱっと見、40代くらいか・・・。

改めてイケメンでないことに落胆しつつ、

「一応部屋は見て回りましたが・・・。
 不気味だったし、外見に合わない程の長さの
 廊下があったり、部屋が歪んだり・・・。
 気持ち悪いです・・・。
 ここ、どこなんですか」

返事を返すと、またふと笑われた。

「ほぅ?君は”向こう”が見えるんだね。
 滅多には居ないんだけどね。
 素質がある、ということ、か。
 一晩でここを出ろ、なんて言ったけど、
 実は素質の有無を見るテストでね。

 よし、君には使命があるらしい。

 実は今、ここの政府がややこしいことに
 なっててね。世界が壊れ始めているんだ。
 それを救う君の、俺はガイドだ」


先ずは、君と俺のように素質のある者にしか
行けない世界に連れて行く。

と、男は手を差し伸べてきた。