おじさんにこっそり、

「昨日、夜を明かすのに使っていた麻袋を
 布団のように被りな。そうすりゃ大丈夫だ。
 ここの蜂は毒性が強いからな・・・。
 気をつけてな・・・」

と忠告され、慌てて被った。

頭上すれすれを蜂が飛び去っていく。
怖くて怖くて、もう大丈夫だ、
と告げられた時には大泣きしていた。

父親はおじさんが元の世界に帰したらしい。

「ほら、もう大丈夫だから、
 落ち着けって。もう泣かない」

おじさんが困っている。

「・・・。よほど怖かったんだな。
 仕方ないな。落ち着くまで好きなだけ、
 泣くといい。その代わり、
 日頃我慢している分まで泣ききれよ?」


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私は結局一晩中泣いた。

あの蜂は、今まで私が生きてきた中で
言われた悪口や、心無い態度のようになって
物理的には刺されていないはずなのに、
無数の痛みがココロを刺していった・・・。

痛い痛いと泣く私に、
おじさんはそっと背中を擦り、
一晩中、ただただ傍に居てくれた。