気が付くと、廃屋の庭に居た。

周りには森が広がっている。
廃屋の裏には山がある。

見知った人が居た。父親だ。
なぜこんなところに居るのかと思った。

「あんたが、この子の親かい?
 宇宙が好きで?藪があると何でも
 つついてみるタイプ、か・・・。
 まるで少年だな」

おじさんが話しかけていた。

父親は黙って、何をするのかと思いきや、
本当にあちこち近くの木や藪を、
落ちていた枝で無邪気につつき始めた。
宇宙の話を一人で呟きながら。

嫌な予感がした。

そして、その予感は的中した。

ぶーーーーん、という凄まじい音が
聞こえたと思ったら、蜂の大群が
押し寄せてきた。

足元には蜂の巣が落ちている。

父親がつついたところに、
蜂の巣があったのだ。

しかも、理不尽な事に、つついたのは、
ほんの一つの藪なのに、遠くの山からも
蜂が飛んで来る。