「んー・・・これはちょっとマズイな。 
 あいつらに触れられると、
 闇に飲み込まれちまう。けど、あいつらは
 飛べるし、俺らはここから動けない。
 助かるにはなんらかの方法でこの世界に
 『色』をつけて、明るくすることだ。
 こいつらの弱点は灯りだからな。
 
 俺は少しは護ってやれるけど、
 あまり長くはもたんだろう。
 
 怯えているな・・・。 
 怯えるな。落ち着いて。君ならわかるぜ?」

おじさんは怯え始めた私にそういうと、
また、撫でて、知らぬ間に出ていた涙を、
そっとぬぐった。

必死で恐怖と戦いながら考えた。
この世界、私が暗いことを考えれば考える程
闇は深くなる。
そしておじさんは言っていた。

こいつらに触れられると、
闇に飲み込まれちまう、と。

つまり、少しでも、明るいことを考える事で
打開できるかもしれない。

これから過ごしたい理想の世界を・・・。

きつく目を閉じ、
こんな世界だったら気持ちいいのにな、
というカラフルな淡いパステルカラーの
世界を思い浮かべる。

隣でおじさんが、

「おっ?」

と嬉しそうに呟くのが聞こえた。