「ここ、どう思う?」

おじさんにふと問われた。

「色がない、です・・・。
 どこか不安になります」

そう答えると、

「そうか。俺もこの世界は嫌いだなぁ。
 色が無いな」

と同意が返ってきた。

なら、連れてくるな!と文句の一つも
言おうとした其の瞬間、
この世界の色がさらに暗くなり始めた。

ココロの読めるおじさんのことだ。
おじさんにはどうせこの文句が伝わって
いるだろうに何も言わず、柵に片肘を乗せ、
にやにやしてこちらを見ている。

・・・。

何故かやたらとその反応にイラついた。
其の瞬間、またも世界が暗くなった。

今や、曇り空の昼間のようだった景色は、
夜のようになり、いきなり見下ろしている
建物中と、街灯に灯りが点った。
でも、不安はますばかりだった。

不安を煽る灯りだ。そう思った。

すると、今まで町を歩いていた人間のような
人達が、途端に姿を変え、ぼやけ、
気が付けば黒い影のような、
恐ろしいものになっていた。