「頭痛い・・・ここどこ・・・」


いきなり視界が歪み、気が付けば、
なんとも言えない不思議な色の空に放り出され
少々強引にどこかの建物に着地する。
いや、正確には落ちた。

「っ・・・はは、降り方が下手だな、君は。
 まぁ、ここで生きていく術を・・・。
 後で教えてあげよう。其の前に・・・。
 ここから出るんだ。一晩でね。
 朝になったら迎えに来る」

そんな声が聞こえたけど、酷すぎる眩暈で、
どんな姿の人か、確認はできなかった。
声からしたら、男であることは判明した。

それも、ちょっと渋い、ダンディな、
たぶん、あごひげを生やしたおじさん。
どうせならイケメンがよかったなー、
なんて思いながら、ゆっくりと立ち上がる。

まずは、状況を確認しようと思った。
暗い部屋。凄く埃くさい・・・。

だんだん目が慣れてくると、つけろ、と
言わんばかりにランタンが置いてある。
でも、肝心のマッチやら火を点ける道具がない。
どうしろと、と思い、結局使うのを、あきらめた。

どうせ脱出できなくても、朝には声の主が
迎えに来てくれる。

そう思って、具合の悪いからだを、
どこかに横たえようとほどよい場所を探す。

ところが、あちこちから、子供の笑い声やら
足音、女の声がする。

部屋は何部屋もあり、ひとつは、
畳に、戸のない押入れ。
そこには変な顔の招き猫など、不気味な物が
飾ってあった。その先には、ギシギシと、
音を立てる木の廊下。

とてもこんなところには居られなくて、
外に出てみた。