(月曜日)
駿、おはよー。
ねみー
昨日の日9見た?
こんな会話ばっかり。
いつもの月曜日だ。
[昼休憩]
「腹へったー」
「今日なに食べる?」
イツメンの4人のいつもの会話。
俺がピザは?出前とればいいじゃん?
というと、
「じゃあピザは?ピザにしよーよ、」
じゃんけんで負けた俺は、校門前まで出前のピザを取りに行くことになった。
[校門]
あ、
あいつだ。
同じクラスの。
「加瀬翔太」
なんでも、1週間に1回、必ず月曜日に誰かに告白されそれを受け入れ付き合うそうだ、
「あ、七瀬おはよ。」
「加瀬…もう昼なんだけど。今来たの?」
「うん。」
「じゃあまだ今日は誰にも告られてないんだ?」
「うん。」
「あの噂、本当だったんだ、」
「…うん。」
加瀬は素っ気ない返事ばかりだった。
「ねぇ、」
「なに?」
「じゃあさ、俺と付き合ってよ。」
俺は「ははは、」と笑った。
冗談、と言おうとしたら
「いいよ。これからよろしくね、」
加賀は俺のほうをじっと見て薄く微笑んだ。
ピザの配達員が来たので
俺は我にかえったようにポケットから財布を取り出した。
「あぶなっ」
チャリンと小銭が地面に落ちる音が響いた。
「わっ!」
俺が小銭を拾っている間に加瀬がピザ代を払ってくれたのだ。
なので俺はごめん、ありがとうとと謝っているのか感謝しているのかわからないお礼をしておいた。
加瀬は笑って、いいよ。気にしないで。
なんて言うから、
あぁ、俺たち本当に付き合ってることになってるんだな。改めて思う。
[放課後]
「七瀬帰ろー。」
誰だろうとドアに目をやると、加瀬がスクバをリュック背負いして待ってるからびっくりした。
「は、?」思わず声が出てしまった。
「ねぇ、加瀬くん今日は誰にも告白されてないのかな?友達と帰るみたいだよ?」
「えー?!そんな事ってあるの??もう夕方だよ?」「じゃあ私告ってみようかな~??」
「か、加瀬くん!!」
「なに?」
「あ、あのっ!今日は誰にも告白されてないんだよね??わっ私と付き合って下さい!!」
「加瀬…」
加瀬が告白されてる…
当たり前の事だけど
なぜかすごく気分が悪かった。
「ごめんね?俺いま、付き合ってる人いるんだよね。」
「えっ!?誰ですか…?」
加瀬に、おいでおいでと手招きされたからそっちの方に行ってみると、加瀬はがしっと俺の肩を掴んで
「俺、七瀬と付き合ってんの。ごめんね?」
パチッと乾いた音が教室に響き渡った。
「バカにしないでよ!!私と付き合うのが嫌ならそう言えばいいじゃない!!」
「本当に俺ら付き合って…」
「もう最悪!!」
彼女は扉を勢いよく閉めた。
連れの女子は「加瀬くん…今のはちょっと無いよ?あっ!!待ってよななぁ~」とバタバタと教室を去った。
女子二人が出ていったので、教室は俺と加瀬の2人きりになってしまった。
「女子ってこわいなー」
「あのなぁ…」
こんなこと信じてもらえるはずないだろ、男同士で付き合ってるなんて。
ただの冗談…ー
「冗談?何で?」
なんてとぼけたりして。加瀬は馬鹿らしいや。付き合ってくれ。と言ったのは俺だけどさ、
やっぱりこんなのおかしい。
「ねぇ、七瀬。早く帰ろう?俺、本屋寄りたい。ジャンプの新刊出たんだ」
いつのまにか一緒に帰ることになってるし。
今までの気持ちを一回無くして、リセットして、「俺がお前の逆コクまってたんだぞ?」そう嫌味にいうけど。
ごめんごめん。
加瀬はそう言って笑う。
その笑顔が胸に刺さった。気持ち悪かった。
「っ…」
痛い、痛い。気持ち悪い。自分が。俺が。加瀬の笑顔にちょっとでもいいな、と思った自分が。一緒に帰れることに喜んでしまった俺が。
「おかしいんだ、俺。」
「えっ」
「俺ってホモなのかな…」「…」
「加瀬を見たらさ、胸が痛くなる。」
ぐいっと肩を掴まれた。息がヒュッと鳴る。
「じゃあこれはどうかな?」
夕陽が照らす2人だけの放課後の教室。
俺と加瀬はキスをした。
「……」
「コレ、嫌だった?」
俺は首を振った。
加瀬は笑って、「じゃあ俺に恋してるって事だよ」と言った。
「は、?」
意味がわからない。俺が加瀬を好き??そんなのあり得ない。2人が付き合ってるのだってきっと1週間だけ。ただの遊びだろ。
「ななせー?」
加瀬にそう呼び掛けられ我にかえる。
「ごめん」
俺は汗を拭った。
深く考えないようにしよう。俺たちは楽しい放課後を過ごすため、加瀬が行きたいと言っていた本屋へ向かった。
pjtvjhckesuv3vny1i6y@docomo.ne.jp
17:16 (1 時間前)
To 自分
[本屋]
「あ、やっぱり。新刊出てる!」
加瀬は新刊コーナーにある話題の作品!!と帯に書いた文庫本を手に取った。なんだか凄く嫌な気分だ。
「俺、漫画のところ行ってくる。」
「ななせっ」
加瀬は俺の肩を掴んだ。
「離せよ。」
「…ごめん。」
さっきからずっと
キスをしたことが頭から離れなかった。それに思い出すと胸まで苦しくなるのだった。
「うーん、よく分かんないな俺。七瀬のきもち」
「は?」
わかんないのは加瀬の行動ではないか。
「俺のこと考えたら胸が苦しくなったり、俺が他の女子と話すと嫌な気持ちになるんだろ?」
「は、はぁ。」
すごい。どうしてそんなに俺の気持ちをぴったり当ててしまうのだろう。あぁ、そう言えばさっきも同じ会話をしたような。俺、忘れようとしてたんだ。嫌だな、思い出しちゃったよ。
「だから、それが恋してるってことでしょ。七瀬は俺のことが好きなんでしょ?」
「…っ」
言葉にならない。 なにも言えない。ここで口を開いたら加瀬に、すき
っていってしまいそうだから。
こんなこと思ってるんだったらもう気づいてるはずだよ。俺、加瀬のこと…
たった2文字の言葉。でもその言葉には、言葉には言い表せない感情が込められてる。
「すき」
その言葉を口にすると、今まで抑えてた感情が涙となって溢れ出た。
「俺、加瀬のことが好きだ。堪らなく好きだ。1週間だけの恋なんて嫌だ。もっと加瀬とずっと一緒にいたい。」
そう言うと急に我に返った。加瀬は黙って俯いたままだった。
顔が熱くなるのが分かった。目眩がしてその場に倒れそうになった。
「大丈夫?!」
そう言って俺を受け止めてくれたのは加瀬だった。加瀬のおかげで俺は倒れずにすんだのだ。
「情けね」
「は?」
加瀬は不思議そうな顔をした。
「だってそうだろ?!俺、ホモなんだよ?お前のことがすきなんだぞ?気持ち悪いだろ。こんな風に倒れたりもする。本当に嫌だ。」
「きもち悪くなんかない。七瀬、立って。」
加瀬は俺の手をグイッと引っ張りそのまま無理矢理立たせた。
「いたいよかせ、」
「俺も、」
「俺も七瀬が好きだ。」
全身が
痺れるのがわかった。
その瞬間は一瞬のようで
永遠のようで
それなのに俺は
ただただ驚くことしかできなかった
「えっ」
「なに、気づいてなかったの?」
気づくはずなんてない。動揺した。だって、好きな人と両思いだなんて。
「仮にも俺たち、付き合ってるんだよ?でも、その前に、俺は七瀬が好きだった。俺のものにしたいって、ずっと思ってた。」
「だから、七瀬が俺と付き合お?って言ったときはすごく嬉しかった。七瀬にとっては冗談なのかもしれないけど、俺にとってはこれはチャンスだ、って」
「キスをしたのも、七瀬に好きって気持ちを気づかせるっていうのもあったけど、本音は俺が七瀬としたかっただけ。」
「…ごめんね?引いたでしょ。」
「引いた…」
加瀬は、やっぱり。と顔を俯かせて苦笑う。
「でも」
「嬉しかった」
「七瀬…」
「だから、これからちゃんと…」
「俺と付き合おう。」
「…なにその上から」
加瀬はぶはっと吹き出し、それからしばらくクスクスと笑っていた。
俺は真っ直ぐ加瀬を見ていた。
その事に加瀬も気づいて、真っ直ぐ俺の目を見て
「はい」
と、どこか淋しいそうな笑顔で頷いた。
こうして、俺たちの長い長い月曜日は終わった。
駿、おはよー。
ねみー
昨日の日9見た?
こんな会話ばっかり。
いつもの月曜日だ。
[昼休憩]
「腹へったー」
「今日なに食べる?」
イツメンの4人のいつもの会話。
俺がピザは?出前とればいいじゃん?
というと、
「じゃあピザは?ピザにしよーよ、」
じゃんけんで負けた俺は、校門前まで出前のピザを取りに行くことになった。
[校門]
あ、
あいつだ。
同じクラスの。
「加瀬翔太」
なんでも、1週間に1回、必ず月曜日に誰かに告白されそれを受け入れ付き合うそうだ、
「あ、七瀬おはよ。」
「加瀬…もう昼なんだけど。今来たの?」
「うん。」
「じゃあまだ今日は誰にも告られてないんだ?」
「うん。」
「あの噂、本当だったんだ、」
「…うん。」
加瀬は素っ気ない返事ばかりだった。
「ねぇ、」
「なに?」
「じゃあさ、俺と付き合ってよ。」
俺は「ははは、」と笑った。
冗談、と言おうとしたら
「いいよ。これからよろしくね、」
加賀は俺のほうをじっと見て薄く微笑んだ。
ピザの配達員が来たので
俺は我にかえったようにポケットから財布を取り出した。
「あぶなっ」
チャリンと小銭が地面に落ちる音が響いた。
「わっ!」
俺が小銭を拾っている間に加瀬がピザ代を払ってくれたのだ。
なので俺はごめん、ありがとうとと謝っているのか感謝しているのかわからないお礼をしておいた。
加瀬は笑って、いいよ。気にしないで。
なんて言うから、
あぁ、俺たち本当に付き合ってることになってるんだな。改めて思う。
[放課後]
「七瀬帰ろー。」
誰だろうとドアに目をやると、加瀬がスクバをリュック背負いして待ってるからびっくりした。
「は、?」思わず声が出てしまった。
「ねぇ、加瀬くん今日は誰にも告白されてないのかな?友達と帰るみたいだよ?」
「えー?!そんな事ってあるの??もう夕方だよ?」「じゃあ私告ってみようかな~??」
「か、加瀬くん!!」
「なに?」
「あ、あのっ!今日は誰にも告白されてないんだよね??わっ私と付き合って下さい!!」
「加瀬…」
加瀬が告白されてる…
当たり前の事だけど
なぜかすごく気分が悪かった。
「ごめんね?俺いま、付き合ってる人いるんだよね。」
「えっ!?誰ですか…?」
加瀬に、おいでおいでと手招きされたからそっちの方に行ってみると、加瀬はがしっと俺の肩を掴んで
「俺、七瀬と付き合ってんの。ごめんね?」
パチッと乾いた音が教室に響き渡った。
「バカにしないでよ!!私と付き合うのが嫌ならそう言えばいいじゃない!!」
「本当に俺ら付き合って…」
「もう最悪!!」
彼女は扉を勢いよく閉めた。
連れの女子は「加瀬くん…今のはちょっと無いよ?あっ!!待ってよななぁ~」とバタバタと教室を去った。
女子二人が出ていったので、教室は俺と加瀬の2人きりになってしまった。
「女子ってこわいなー」
「あのなぁ…」
こんなこと信じてもらえるはずないだろ、男同士で付き合ってるなんて。
ただの冗談…ー
「冗談?何で?」
なんてとぼけたりして。加瀬は馬鹿らしいや。付き合ってくれ。と言ったのは俺だけどさ、
やっぱりこんなのおかしい。
「ねぇ、七瀬。早く帰ろう?俺、本屋寄りたい。ジャンプの新刊出たんだ」
いつのまにか一緒に帰ることになってるし。
今までの気持ちを一回無くして、リセットして、「俺がお前の逆コクまってたんだぞ?」そう嫌味にいうけど。
ごめんごめん。
加瀬はそう言って笑う。
その笑顔が胸に刺さった。気持ち悪かった。
「っ…」
痛い、痛い。気持ち悪い。自分が。俺が。加瀬の笑顔にちょっとでもいいな、と思った自分が。一緒に帰れることに喜んでしまった俺が。
「おかしいんだ、俺。」
「えっ」
「俺ってホモなのかな…」「…」
「加瀬を見たらさ、胸が痛くなる。」
ぐいっと肩を掴まれた。息がヒュッと鳴る。
「じゃあこれはどうかな?」
夕陽が照らす2人だけの放課後の教室。
俺と加瀬はキスをした。
「……」
「コレ、嫌だった?」
俺は首を振った。
加瀬は笑って、「じゃあ俺に恋してるって事だよ」と言った。
「は、?」
意味がわからない。俺が加瀬を好き??そんなのあり得ない。2人が付き合ってるのだってきっと1週間だけ。ただの遊びだろ。
「ななせー?」
加瀬にそう呼び掛けられ我にかえる。
「ごめん」
俺は汗を拭った。
深く考えないようにしよう。俺たちは楽しい放課後を過ごすため、加瀬が行きたいと言っていた本屋へ向かった。
pjtvjhckesuv3vny1i6y@docomo.ne.jp
17:16 (1 時間前)
To 自分
[本屋]
「あ、やっぱり。新刊出てる!」
加瀬は新刊コーナーにある話題の作品!!と帯に書いた文庫本を手に取った。なんだか凄く嫌な気分だ。
「俺、漫画のところ行ってくる。」
「ななせっ」
加瀬は俺の肩を掴んだ。
「離せよ。」
「…ごめん。」
さっきからずっと
キスをしたことが頭から離れなかった。それに思い出すと胸まで苦しくなるのだった。
「うーん、よく分かんないな俺。七瀬のきもち」
「は?」
わかんないのは加瀬の行動ではないか。
「俺のこと考えたら胸が苦しくなったり、俺が他の女子と話すと嫌な気持ちになるんだろ?」
「は、はぁ。」
すごい。どうしてそんなに俺の気持ちをぴったり当ててしまうのだろう。あぁ、そう言えばさっきも同じ会話をしたような。俺、忘れようとしてたんだ。嫌だな、思い出しちゃったよ。
「だから、それが恋してるってことでしょ。七瀬は俺のことが好きなんでしょ?」
「…っ」
言葉にならない。 なにも言えない。ここで口を開いたら加瀬に、すき
っていってしまいそうだから。
こんなこと思ってるんだったらもう気づいてるはずだよ。俺、加瀬のこと…
たった2文字の言葉。でもその言葉には、言葉には言い表せない感情が込められてる。
「すき」
その言葉を口にすると、今まで抑えてた感情が涙となって溢れ出た。
「俺、加瀬のことが好きだ。堪らなく好きだ。1週間だけの恋なんて嫌だ。もっと加瀬とずっと一緒にいたい。」
そう言うと急に我に返った。加瀬は黙って俯いたままだった。
顔が熱くなるのが分かった。目眩がしてその場に倒れそうになった。
「大丈夫?!」
そう言って俺を受け止めてくれたのは加瀬だった。加瀬のおかげで俺は倒れずにすんだのだ。
「情けね」
「は?」
加瀬は不思議そうな顔をした。
「だってそうだろ?!俺、ホモなんだよ?お前のことがすきなんだぞ?気持ち悪いだろ。こんな風に倒れたりもする。本当に嫌だ。」
「きもち悪くなんかない。七瀬、立って。」
加瀬は俺の手をグイッと引っ張りそのまま無理矢理立たせた。
「いたいよかせ、」
「俺も、」
「俺も七瀬が好きだ。」
全身が
痺れるのがわかった。
その瞬間は一瞬のようで
永遠のようで
それなのに俺は
ただただ驚くことしかできなかった
「えっ」
「なに、気づいてなかったの?」
気づくはずなんてない。動揺した。だって、好きな人と両思いだなんて。
「仮にも俺たち、付き合ってるんだよ?でも、その前に、俺は七瀬が好きだった。俺のものにしたいって、ずっと思ってた。」
「だから、七瀬が俺と付き合お?って言ったときはすごく嬉しかった。七瀬にとっては冗談なのかもしれないけど、俺にとってはこれはチャンスだ、って」
「キスをしたのも、七瀬に好きって気持ちを気づかせるっていうのもあったけど、本音は俺が七瀬としたかっただけ。」
「…ごめんね?引いたでしょ。」
「引いた…」
加瀬は、やっぱり。と顔を俯かせて苦笑う。
「でも」
「嬉しかった」
「七瀬…」
「だから、これからちゃんと…」
「俺と付き合おう。」
「…なにその上から」
加瀬はぶはっと吹き出し、それからしばらくクスクスと笑っていた。
俺は真っ直ぐ加瀬を見ていた。
その事に加瀬も気づいて、真っ直ぐ俺の目を見て
「はい」
と、どこか淋しいそうな笑顔で頷いた。
こうして、俺たちの長い長い月曜日は終わった。