「ねぇ、お願いしてもいい?佐崎くん」

「お願いって...僕にどうしろっていうの」

「だから、家族を笑わせてほしい」

「どうやって?」

「えーっと...一発ギャグとか?佐崎くん黒板消しを綺麗にするあの機械の音真似得意だったじゃん」

「したことないよ、そんなシュールな一発ギャグ」


彼女は顎に人差し指をあてて、うーんと悩み始めた。


「自分で考えて、佐崎くん」


そして、考えることを放棄した。


「え、それ君が言う?」

「うん。私が言う」


彼女は僕のベッドに寝そべった。


「とにかく、私の家族が悲しまなければそれでいいよ」


彼女は笑った。

ニュースで流されていた、あの画像の笑顔に似ていた。