次の日


土曜日だから学校はないが、
この顔を見られたら大変だ。


顔をマスクで隠した。


これで、多少は誤魔化せるだろう。



ピンポーン



玄関のチャイムがなり、家に招き入れた。


「こんにち、は……、どうしたの?
マスクして」


「少し風邪気味なだけです」


「今日は止めた方が良いかな?」



心配した視線でこちらを見ていた。



「大丈夫です、大したことではありませんから」


「そう、何かあったら言うんだよ」




そのあと、自室で勉強をした。


この竜崎と言う家庭教師は、教えかたが
なかなか上手く、分かりやすい。



竜崎は、隣に座りながら教科書を眺めながら言った。



「ねぇ、依利君」


「はい?」


「その首の所、どうしたの?」



慌てて、両手で首を隠した。



竜崎は、教科書を机の上に置き、
依利の方を見つめた。



「何か、なってますか?」



ヤバい、バレた……のか。



「やっぱり、行動が異常だね、依利君。
首には何もなって無いよ」



不意討ちかよ。

でも、首には、って言ったか?



「一番酷いのは腕と背中っていったところかな?
庇って歩いて、動かすと眉をひそめる――」



表情は、少し微笑みながらも、
目の奥は笑って居なかった。



「だから、何だって言うんですか」


「そのマスクも顔が腫れてるからしてるんでしょ」



何なんだよ、この人は……。



「君は分かりやすい。
どれだけ偽っても本心は隠せないものだよ」