でも、僕の予想に反して、この人は、

僕の本当の姿を見ようとしてくる。



どうして、この人には効かないのだろうか?



自分が身に付けてきた

偽りの技術、全てを持っても危うい。



このままでは、完全に偶像を壊され、

自分の知らない姿まで知られてしまう。



どうすれば良いのだろうか?


僕は――。



「……クン、ヨ…ン、依利君」



「はい」


「どうしたの、ボーッとして。
分からないところあった」


「いえ、何でもないです」



自室で勉強中なのを忘れていた。

今は、考えてる暇はない。



「そう、大丈夫なら良いけど」



気を抜くと偽れなくなる。

集中しないと……。