「これじゃ、話が全く始まらない。
依利、まぁ、大まかには分かったかも知れないけど、一応紹介するね」
僕は、大きく頷いた。
「この小柄なのが兄さんの
竜崎 結月(リュウザキ ユヅキ)
それでこっちの大きい人が
四ノ沢 澪(シノサワ レイ)さん」
あっ、結月さん誰かに似てると思ったのは瑞穂さんだ。
結月さんは、お母さん似なんだ。
雰囲気とか、そっくり。
「あっ、そっか、すっかり忘れてた。
依利君の事は皆から聞いてるよ。
陽裕がなにか困るような事してきたら、言うんだよ」
「そんなこと、するかよ」
結月さんは笑いながら、本当にと陽裕さんに話しかけていた。
仲の良い兄弟の姿を見ていたら、急に腰骨辺りを掴まれ、変な声が出た。
「やっぱり、お前細すぎ、筋肉もついてねぇし、ちゃんと食ってんのか?
身長伸びないぞ、結月見たいにチビのままだぞ」
「澪さん、依利君驚いてますよ。
相手、未成年何ですから、色々とヤバイですよ、あと、チビじゃないですから」
「俺は変態だがそこら辺の変態と一緒にするな」
変態とは、認めるんだ。
けど、そろそろ離して欲しい。
「あの、そろそろ――」
「身長いくつだ」
「165ですけど」
「そうか、23㎝差ってこんなもんなのか
俺の思ってたのとは少し違ったな」
23㎝差って事は、澪さん188cm もあるって事。
澪さんは、腕を組んだ。
「3㎝じゃあ、そうそう変わらねぇか。
可愛さ倍増とか思ってたけど、そうでもねぇな」
「3㎝?」
「結月の身長だよ、お前の身長プラス3㎝。まぁ、可愛さは倍増しなかったが十分可愛い」
可愛いと言われて、嬉しい気がした。
「澪さん、いい加減にしてください」
「ぅん、陽裕がこんな可愛い子を連れてくるのがいけないんだろ」
不穏な空気が流れた。
「はい、そこまで、そろそろお仕事しましょ、ねっ」
「そうだな」
結月さんと澪さんは、仕事机についた。
「あの、陽裕さん、僕、何をすれば……」
「大丈夫、ちゃんと教えるから」
仕事内容を教えてくれた。
僕は、ベタ塗りをするように言われた。
それから、四時間、作業は続いた。