リビングへ



「あっ、依利君、陽裕、おはよう」



ふんわりと優しく話しかけてきてくれたのは、
瑞穂(ミズホ)さん、陽裕さんのお母さん

おおらかな人でとても優しい。



「おはよう、よく寝れたかな?」



挨拶してくれたのは
陽裕さんのお父さんの寿一(トシカズ)さん


色気のある声で、男も惚れる様な包容力ある人


親子だけあって、陽裕さんと雰囲気が一緒だ。



「おはようございます。
よく寝れました」



ここにお世話になることが決まった時も
嫌な顔ひとつせず、寛大な心で受け止めてくれた。



「ご飯にしましょう」


瑞穂さんのその言葉を聞き、
僕と陽裕さんは席についた。



ここで、生活させてもらってから
日は浅いが色んな事に対して感動が多かった。


食事のときに一緒に食べてくれる人が居る

毎日のように怒鳴られない

痛い思いをしなくて良い

ちゃんと目を合わせて会話してくれる

一方的ではなく、ちゃんと会話が出来る

自分の居場所がある

僕の為に優しくしてくれる人が居る。



もっとたくさんある、感謝しきれないほど
本当に良い人たちで温かい。





「そう言えば、陽裕。
結月(ユヅキ)の所に行くのか?」



結月?

誰だろう?



「まぁね、急ぎでも無いから、カテキョのバイト無いなら手伝って欲しいって」


「そうか」


陽裕さん、他にもバイトしてるんだぁ。



「依利にも紹介したいし、依利も行く?」



行くってどこに?

少し首をかしげると、陽裕さんは、
はっとした顔をした。



「そうか、まだ、説明してなかったね。
結月は、俺の兄で、漫画家をしてるんだ。

今日はその手伝いをしに行く日でね、
もし良かったら、依利も行くかなぁと思って、どうかな?」


「行っても良いんですか?」



陽裕さんは大きく頷いた。


僕は、陽裕さんのお兄さんに会いに行くことになった。