次の日


もう、限界だった。


父の苛立ちも、身体のアザも
増えていく一方で――。


もう、一人で抱えきれない。

痛くて、辛くて、悲しかった。



ピンポーン



その音だけが静かな家に響いた。



痛む身体を労りながら、玄関へと足を動かした。


やっとのことで、玄関を開いた。



「あっ、依利君、こんにちは」



優しく微笑みかけられた

この笑顔は、僕に向けられているんだ。



倒れこむように竜崎さんに抱きついた。



「えっ、依利君、どうしたの?」


「タ…テ、オネ…」


「今なんて言ったの?」


「たす、けて、おね、がい」


竜崎さんの背中に回した手は震えていた。



「良くできました。
その言葉を待ってたよ」



また、あの優しい手で頭を撫でられた。