月に見染められて

だが、知っているとすれば…。
思い当たる節があるからこういうのは嫌なんだ。

「何、知り合いなの?」

りょうが疑った目で相手を見る。
それもそうだ。
私たちとは無縁の存在なのだから。

「分からない。」

でも相手は私を知っている。
一方的だったとしても私の顔を知ってるとすれば、昨日の取引の時…。
私の裏の顔をりょうは知らない。
私も話そうとは思わない。
知られてしまえば否定はしない。

「昨日の夜会った…っておい!」