月に見染められて

いつもと同じやり取りを終えて私は帰る準備をする。

「こと、帰ろ。」

りょうの準備ができたみたいだ。

そうして私たちは校門をくぐり、家路を急ぐのだった――

「よう、昨日ぶり。」

その声がするまでは。

私は声の方に振り返る。
そこには同じくらいの歳の男の子が1人。
歳は同じくらいだが、格好が世間で言う不良だ。
髪は金に近い色で、耳にはピアス。
服はだらしなく、ズボンは下げている。

この人と私は知り合いだろうか。
いや、こんな奴とは私は知り合いにはならない。