月に見染められて

闇取引が始まった。

多分、麻薬だろう。
私にとって何物にも変えられない憎き物だった。

「回収…。」

そう一言つぶやくと私は取引場に姿を出す。

「だ、誰だお前!…周りのやつはどうしたんだ。」

案の定、いきなり出てきた私の姿に驚く。
これで、取引は失敗。
でも、麻薬は消えない。
回収して処分しなければ。

「素直に従ってくれれば手荒な真似はしない。…お前らが持っているもの全部こちらに渡せ。」

こんなことは建前だ。
これを言って従った者など存在しない。