恋をして初めてわかった、サトルの気持ち。


自分が恋を知った今、ようやく自分のしてきたことすべてがサトルを傷つけてきたことを知った。





目の前にいるサトルを遠慮がちに見上げる。


前と変わらない優しげな茶色い目。

サラサラとなびく栗色の髪。


なんて言ったらいいんだろう。


いっぱい傷つけたサトル。
それは、

私のせい。


私がハルトからのメールを待つように、サトルも私からのメールをきっと待ってたよね？

私と同じように、切なかったよね‥？



｢サトル‥本当にごめんね‥｣


それしか言えなかった。


｢やり直そうよ、ナナ。｣


サトルの声が心にささる。


出来ない、

───出来ないよ‥。


だって、私‥


｢ごめんなさい‥ホントにごめんなさい‥私、好きなひと出来たの‥｣


｢‥えっ！？｣


サトルが絶句する。

そうだよね‥そりゃそうだよね。


｢‥付き合ってんの？」


いつもより低いトーンのサトルの声が沈んでいく。


｢‥ううん。付き合ってないよ‥。｣


“振られたかもしれないし‥”その言葉は胸にしまう。