「どうなの?‥あれがホントの気持ち?」


サトルの真剣な目に俯く。

目を合わすことはもちろん、
顔をあげることさえ出来ない。


「‥私‥ごめんなさい‥」


「俺は!俺はお前のことマジで好きだから!あんなこと言ってかまかけたりしてマジで後悔した!」

サトルが私の座っている席に近づく。


「好きだから!別れようとか言ったけど、お前の気持ち見えなくて不安で、だからつい‥!」


サトルの声が私たちふたりしかいない教室に響き渡った。


「俺はお前が…ナナが、やっぱり好きだ‥!!」




サトルの言葉が思い出を蘇らせる。


あれは‥

高校に入って間もない4月‥‥。


隣の席に座っていた男の子、それがサトルだった。

少年らしさの残る細身の体が印象的で、でもサッカーをずっと続けているって言うだけあって筋肉もちゃんとあってナヨナヨとかしてなくて‥。

なにより色素の薄いキレイな茶色い髪と瞳が優しい雰囲気だった。

笑うとかわいいのにそのことを言うといつもむきになって怒った。

「男は可愛いとか言われてもかっこわりーんだよッ!」

なんて言って、よく赤くなってたっけ‥。