言わなくてもわかることだけれど校長の話は長い。

特にこの高校の校長の話は長い。


私は話を右から左へただ受け流してた。

だって…
頭の中は右からも左から上からも下からも、どこからでもハルトのことばかり。


───わからないことばかり。


とにかく早くヤヨにも話を聞いてもらいたかった。

ヤヨはお嬢様なのにしっかりとした性格だし、物事をはっきりととらえられる。
ハキハキしててさっぱりしてる。

ヤヨはハルトのこと、なんて言うだろう‥?


長い長い校長の話が終わるとあとは諸連絡などで今日の学校は終りらしい。

初めての高校の始業式が終り、また3人で教室に向かう。


「今日もう帰れてラッキーだね!ていうか教室で話してく?」

マユが言う。

「あっそうしよ!ね?ナナ」

「うん!」


私たちは放課後の教室で夏休みの話をすることにした。


教室は思ってたよりすぐに閑散とした。

部活をしているひとは部活に行ったし、他のひとも遊びに行くのかさっさと帰って行ったから。


「‥それで、ナナ。サトルと、別れた?」