「‥はぁ‥はぁ‥」


息が出来ない。


空気が‥
酸素が‥
ないみたい‥‥。

もっと‥!

もっと酸素‥!


息が‥

死んじゃう‥‥!!


「ヒィッ‥‥」

「ナナっ!?」


お母さんがビックリしたように近づく。


でも、そこで私は立っていられなくなって‥。


───バタン!!


床に倒れ込んでしまった。

相変わらず息は出来ない。

「‥ハァっ‥い‥息‥出来な‥」


「大丈夫よ!」


お母さんはリビングから何かを持ってきた。


「これを口にあてて!ゆっくり息してね!」


ビニール袋だった。

口にあてられて息を吸う。
はく‥。

「ハァっ‥ハァっ‥」

「だめ!ゆっくり、ゆっくり息してね!」

お母さんは私の背中をずっとさすり続けてくれた。

「大丈夫、大丈夫。」

そう繰り返しながら‥。

涙が溢れて止まらない。

こんなに、

こんなに苦しいのにお母さんに優しくされていることが嬉しくて。

馬鹿みたいだけど‥嬉しくて。

辛くて‥
苦しくて‥
切なくて‥

───でも嬉しかった。