ゆっくりと帰り道を歩いた。


もともとそう暗くもない道だけど全然怖くなかった。
頭の中はハルトのことばかり。

なんで?

どうして?


繰り返す思考‥。



抜け出せずにもがくけれどどうしようもなく全てがハルトへと繋がる。

景色を見ても、

音を聞いても、

───どうしたってハルトと繋がる。

そしてそのたびに胸がドクンって痛む。

ドキドキして息が苦しくなる。


私は、


もう、


ハルトに会えないかもしれない───…。


その思いに押し潰されそうになる。

ううん‥

押し潰される。


会いたい。

好きなのに。

優しくしてくれたのに。


───‥キスだって
‥してくれたのに‥。


なんで?

なんで?


なんでなの!?



辛くてギリギリのところで涙をこらえながら家のドアを開けた。



「‥お母さん‥」



玄関のドアを開けたその先にはお母さんが待っていた。


「ナナ!」


怒ってる‥

そうだよね‥


「明日から学校始まるのよ!わかってるの?」


‥わかってるよ‥

‥‥‥‥

‥‥‥はぁ‥


あれ…?


‥息が‥うまく出来ない‥‥。