車が走り出すと急に寂しくなる。

もう、帰るのかな…?

…もうちょっと、
一緒にいたいな…。

助手席でそんなことを思っているとハルトが口を開いた。


「ちょっと俺の家寄ってもいいかな?家に置いてきたもの取って来たいから!」

家に置いて来たもの?

なんだろ‥‥?

でも、まだ帰らないんだよね…?

気持ちが一気に明るくなる。


そして私たちはハルトの家に向かった。


家に着くとハルトは少し黙ってから言った。



「‥‥絶対何もしないから──俺の部屋、行ってもいい?」


「‥‥‥?」



私はきょとんとしてしまう。



「‥‥あっ!うん!いいよ!」



言っていることの意味をやっと理解して慌てて言った。


私たちは車を降りるとハルトのアパートの階段を上がった。


トン‥トントン‥


リズミカルに上がるハルトの足音に置いていかれないように。


「ホントは仲間の店借りてそこでしようと思ったんだけど定休日だったんだ。」

ハルトは階段を昇り切ったところで言い訳みたいにそう言った。


私は少し笑ってしまう。

気にしてくれてるんだって思ったら嬉しくて。