11月。


もうすっかり景色は冬になり、また…雪の季節がやってくる。


吐く息は白く、吸い込んだ空気は体を内側からひんやりと冷やす。


「…ふぅ…やっぱ寒い…」


開けていた窓を閉める。


私はもうすでに臨月に入り、今、5分おきの陣痛と戦っていた。


入院してひとりで陣痛に耐えながら気分をまぎらわそうと空気を入れ換えてみたけれどすぐに病室は冷たい空気に包まれた。


「……っ!!」


陣痛の波が来る。


自分の意思でたったひとりで入院した。

付き添うと言ってくれたお母さんを断り、ひとりで陣痛と向き合う。



今、ひとりで頑張れなかったら―――


この先だっていろんな試練を乗り越えていけない―――。



そう思ったから。