小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜

マユの言葉に、私の頭はフリーズした。


…堕ろす…。


そうだよね…。


高校生が妊娠して、“産む”なんて…まず考えないよね…?

妊娠したら堕ろすしかない―――そう思ったマユの気持ちもごく自然なのかもしれない…。



「…マユ…でも、私…」



「…なに?」



「産むことにした。」



私は思いきって口にした。

言葉にした瞬間、私の胸もざわめいた。


マユは今日見た中で…ううん、今まで見た中で一番…。

なんの表情も感じられない…無表情だった。


表情がなくって、ただただ私を見つめる目が小さく左右に動いていた。


「………」


何も、言わず。


ただ、


じっと、私を見てた。




その視線に耐えられなくて私は口を開く。



「…ハルトとの赤ちゃんかも知れないし…っ…!」



言い訳みたいに。