マユの家の前まで来ると小さな人影。


「マユっ!!」


呼ぶと小さな誰かが走り寄ってくる。

誰かは知ってる。


「ナナ!早く入ろう?」


マユは家の外で私が来るのを待っていてくれたんだ。


マユに促され、慣れ親しんだマユの部屋に入る。


少し硬いマユのベッドに腰かけると私は口を開いた。


「ありがとね…ヨースケのこと。」


マユもその隣に腰かける。

どちらかがベッドに座ればもうひとりは反対側のソファーに座るのがいつもの私たち。

今日は、隣に座ったマユ。


マユの温かさが伝わる。



「……当たり前じゃん!!このままじゃ…このままじゃぁ、気がすまないよっ!!」



本気で怒ってくれるマユに涙腺が壊れそうになる。



「それに……こんなこと、言いたくないけど……」


マユは言い淀み、そして続けた。


「堕ろすのにだってお金、いるんだよ…!?」


「………」