その日の夜。

ﾏﾕから電話が来ていた。



電話が来たちょうどその時、私はリビングでｵﾄｳｻﾝに赤ちゃんのことを話していたから部屋に置いてあったケータイに出ることは出来なかった。




―――ｵﾄｳｻﾝ…。

赤ちゃんののことをｵﾄｳｻﾝに話した時…。

ｵﾄｳｻﾝは小さく肩を落として、

「…そうか…。」

と呟いた。

少しだけ寂しかった。

本当のお父さんなら泣いたり、怒ったりするのかなぁ…なんて思ってしまったから…。

でも、今もしそうされたらとっても困るからプラス思考でいけばこれが幸いしてたんだよね…。

そう思って納得した。

というか、もうそんな小さなことにこだわっている時ではなかった。



ﾁｶはまだよくわからなかったみたいで不思議そうにしていた。

赤ちゃんが産まれることでなんでそんなに深刻に話しているのかがわからなかったみたい。

でも…

「わーい！ﾁｶもお姉ちゃんだぁ！」

と無邪気に喜んでいた。


心の中で“お姉ちゃんじゃなくてオバサンなんだけどね…”と呟いてその無垢な姿を微笑ましく思った。