小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜

涙は止まらない。

渇れ果ててしまうかも知れない。

でも、

それでもいい。



見てしまった、小さな体。


必死に生きる姿。


こんなママのお腹の中で何も知らずに、ただ、ひたすら生きようとするその姿。


…もうここに、

ちゃあんと存在する大きな命…。









「殺せないよ…。ねぇ、お母さん…私、赤ちゃん殺すことなんて…出来ないよ…!」



「…ナナ…」



お母さんは黙ってただ私を抱きしめていてくれた。



ギュッと入ったその力は生命の証。

母の愛情。



生きるということ。



かけがえのない命。



ここにいる命につながっていく…。




この子は…

産まれてきたいはずだ。


父親が誰だとか、

そして

父親がいるかいないかとか、

そんなこと関係なく…。



だって、


私、産まれてきて良かったって今、心から思ってる。

お母さんが産んでくれてよかった。


おかげでハルトに出会えたんだから…。