☆☆☆ 



「…そんなのって…」


私の話のあとにマユがつぶやく。


話している最中から流し続けてくれた涙はいくすじもの通り道を作っていた。


マユのくしゃくしゃの泣き顔を見てもなんだか現実じゃない気がしてた。


ボロボロと涙をこぼし続けるマユに抱き締められてもそれは変わらなかった。

ふわふわとした夢の中にいるようで…。

現実だとわかっているのに受け入れられない。

限りなく現実なのにどこか他人事のようにぽかんとしていた。

階下からカレーのにおいがしてた。

…今日はカレーか…。

のんきにそんなことを考えながら…。


「…だからね、このお腹の中の赤ちゃんは、ヨースケの子かも知れないんだよ。」


たんたんとそう言ったとたん、私の目の前はゆらゆらとにじんだ。


次々に涙があふれだす。