「私のこと、嫌いにならないで…ね?」


私はバクバクと高鳴る心臓に振り回されながらマユに念を押した。


怖かった。


思い出すのも怖かったけれど、

マユに嫌われるのが、
マユに軽蔑されるのが、

怖かった。



「嫌いになんかなるわけないじゃん!ナナは私の親友だよ?何があっても変わんないよ!」


マユの力強い言葉に、私は意を決する。


「長くなるかも…」

「いいよ…!」

マユがうなずく。

それをみて、
私は自分を励ますようにひとつうなずいて話し始めた。






      ☆☆☆


ハルトと別れてホテルを出た。


辺りはまだ暗くって寂しさに拍車をかけた。

真っ暗ではないのに暗いその空の色が心を沈めた。


少しも射してくる気配のない陽の光に明るい未来なんて見えるはずもなく。


暗闇の中、たったひとりなような気がしてた。


ハルトがいない生活なんて…。

そんなの考えたくない。