小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜

「えっ…?」


ビックリしてユウくんの顔を見上げる。

…どうして…?


「泣いてないよ…?」


「…ならいいんだけど。泣いてるみたいに見えたから…。俺のせいかな?って。」


「ええっ!?」


何でそうなるの!?


「俺、怖かったかと思って。」

「全然…そんなことないよ…ってこともないけど…大丈夫だよ?」

「……結局、怖いの?」


ユウくんがズバリと聞いてくる。


「平気!」


「よかったー!…泣かせたかと思ったー!」


そう言うとユウくんは笑った。

初めて見た笑顔はさっきまでとうってかわって人懐こかった。


「俺、緊張すると怖ぇー顔になんだよ…。」


「こわい…かお…?」


私はそんなユウくんの笑顔を見て少し笑った。


さっきまでは怖かった。

でも、それはユウくんが怖い顔してたからじゃない。

ユウくんが怒ったのかと思ったからでもない。



…あの時、

ユウくんの手が触れたから…。

“男の人の手”が触れたから…。


私はユウくんじゃなくても怖かっただろう。


男の人の手の大きさに。

男の人という存在に…。