小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜

「ごめん…!ちょっとトイレ行ってくるっ!」


私は席を立つと部屋を出た。




……どうしよう……

どうしよう…



あの時、

ユウくんからグラスを受けとるとき…。

ユウくんの手が私の手に触れた。


―――たったそれだけのこと……。

たったそれだけのことなのに、私は怖くなってグラスから手を離してしまった。


何してるんだろう…

私は…何してるんだろう…?





「…オイ!」


「ヒャッ!」


トイレから出ると突然後ろから声をかけられて飛び上がる。

振り返るとそこにはユウくんが立っていた。


「…大丈夫か?」


ぶっきらぼうに聞くユウくん。


「うん…。ユウくんもかかったよね…?ゴメンね。」


謝るとユウくんは“まぁな!”って言うみたいに肩をすくめた。


「…なぁ?」


「ハイッ?」


ユウくんの大きな声につられてつい大きな声で返事をしてしまう。



「…泣いてんの…?」