でも―――…

でもね…。



私の目の前で、他の女の子のことを思わないで…。

そんなに切ない目を、しないで…。



……………。



「…わかった。」



私はただ、そう言った。

別れる決心なんてついていない。

別れる覚悟なんてしようがない。


でも、


そう言うしかないでしょう?


ハルト。

ハルトの辛そうな顔、これ以上みたくないから。

かっこいい大好きなハルトの顔だけを覚えてたいから。


もう…



「困らせて…ごめんね…?」



私は笑った。

きっと、
変な笑顔だっただろうな…。

でもそれは私の精一杯。


ハルトへの最後の愛情の表現…。


私はハルトに近づく。

そして、


ギュッ――…


抱きしめた。

最後だよ…。

ハルトの温かさも、
ハルトのにおいも、
ハルトの感触も…

もうこれが最後…。

―――忘れないよ…。


ねぇ、ハルト…?

ハルトも覚えててね…?

私の温もり。
私の全部。

私という、存在。