「ナナ…好きだよ…」

「…私も……」



ボンヤリと光るライト。
ゆるやかに流れる音楽。
どこの音楽かもわからないゆったりとしたメロディが日常との境界線。


ここは―――…ホテル。
いわゆるラブホテル。

私たちに高級ホテルに入るほどのお金なんてあるわけがなく。
もちろん普通のホテルに入れるほどの容姿も持ち合わせてはいなかった。
ふたりとも、どちらかと言えば童顔…。
高校生どころか中学生に間違えられる危険性すらある。

…そんなわけで仕方なくやってきたラブホテル。

さすがにサトルも複雑そうに「ここ…入っていい?」なんて聞いてた。

こんな場合の返答法はどうしたらいいのだろう。

「いいよ!」
って元気に即答するのもどーかと思うし…

「えっ!やだよ…」
とか言い出すのも野暮だし…。


そんなこと思いつつも
「あっ!…うん!もちろん!…って、モチロン!?」
自爆。


あまりにもわけのわからない回答にサトルも苦笑い。