「ごめんなさい…ごめんなさい…！！」


ﾅﾅｺは繰り返す。


「ごめんなさい…！私…ｼｭﾝがいなくて…淋しくて苦しくて辛くて……辛くて…」


俺は黙ってﾅﾅｺを見つめていた。


「誰かに…そばにいて欲しくて…どうしても…いて欲しくて……ごめんなさい…ほんとにごめ…なさ…い！！」



大粒の涙をこぼし、謝るﾅﾅｺ。

それを見た俺の怒りはスッと引いていき、その代わりと言ってはなんだが悲しみが押し寄せてきた。



あまりにも哀れなその姿を見ていると怒る気など失せていく。

かといって俺には彼女をなだめて慰めてやるようなお人好しの精神もなかった。


「でも…でも私、本当にﾊﾙﾄくんのこと…」



泣き続け、そう言うﾅﾅｺに俺はうんざりし始める。



「好きなの！ほんとに…！お願い！そばにいて！私もう…ﾊﾙﾄくんがいないと、ダメなの…！」



………。

怒りと哀れみとに板挟みになる。