―――――…。


確かにお願いしたよ?

サンタに。

ナナに会いたい…って。
ナナの笑顔が見たいって。


でもさぁ…


これはキツくねぇか…?


なぁサンタのじいさん。
俺、あんたに嫌われてんの?



俺の目に映ったもの。
それは…


―――会いたかったナナ。
―――見たかったナナの笑顔。


そして…


―――見たくなかったナナの隣で笑う男…。



ナナは俺の知らない男と手を繋いで幸せそうに歩いてた。

ニコニコと笑って。

真っ白なコートが舞い降りてきた雪の精みたいに見えた。



…辛ぇよ…


でもこれは俺の望んだ現実。
あの時、ナナもこんな気持ちだったんだな…。
ごめんな…


幸いナナは俺には気付いていないようだった。

―――早く立ち去ろう。

俺は踵を返すと走った。
走って走って、この現実から逃げようと。

でも現実は俺を追いかけてくる。


あのナナの笑顔は俺に追い付いて心をつかまえる。


どこまでも、どこまでも。

追いかけてくる現実から俺は逃げ続ける。



逃げて、逃げて…



そして…

ナナコの待つ俺の部屋へ―――。